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      ”バナナ叩き売り”ST保存会 だより(その8)

 

 

 
  我らST保存会は”旅一座”よろしく声が掛かればあの街この街の介護施設や各種イベントに、
ある時は雨の中、又ある時は炎天の下を訪ねて、関東一円で活動していますが、その殆どが会場
での”一期一会”の出会いです。

   その中で唯一、2016年から毎年続いている公演があります。それは華の都は東京で名所 旧跡、多々ある中で5本の指に入ると言われる東京タワー、その袂で毎年4月2日に厚生労働 省及び関係団体が協力して開催されるブルーライトアップ・イベントでの実演です。  これは国連が定めた”世界自閉症啓発デー”で毎年4月2日、世界各地(パリ、ロンドン、 ニューヨーク等)や日本各地(東京、横浜、千葉、名古屋、大阪等)のランドマークがテーマ カラーのブルーに染まり、自閉症をはじめとする発達障害について、広く世に伝える為の啓発 活動です。  シンボルカラーのブルーは癒しや希望等を表すとされ、会場での出演者は”青いもの”を身 に着けての出演となります。従って我々も青いタオルやTシャツ、女啖呵師は外国人向けに ブルー系の着物を着ての実演です。このイベントの参加は相方の大石氏(大将)が関係してい る団体からの依頼で、今やイベントの風物詩となりつつあります。  会場では我々の”バナナ叩き売り”の実演をはじめダンスや楽器演奏、関係団体のブース出 展等、盛り沢山のイベントが催されています。来場者は関係者はもとより、東京タワーが観光 名所である上に、加えて近くには増上寺、それに東京プリンスホテルがあるので、海外からの 観光客や、この時期4月2日は桜の満開時期と重なるため、増上寺境内で花見を終えた人々も 流れて来ます。我々も昼食はその境内で”プチ花見”をして会場入りするのが常です。 実演は午後から休憩を挟んで3回のステージです。その間、いろいろな人々との出会いがあ ります。常連としてはその年のミス日本、彼女は必ずブルー系の着物かスーツを着ての登場で す。又骨髄バンク支援や障害者支援等のボラティア活動をしている女優の東ちづるさん、それ にセラピスト達、紙芝居屋のお姐さん等です。ある時はNHK番組で即興画家として活躍して いた鈴木紗代画家も来場し、我々の実演姿を即興で描いてくれました。 (原画は将来を見込みST保存会の資産として保存)
 東京タワーを観光に来た多くの外国人が我々の実演を興味深く観てくれますが、時々、売る 値段を下げながら売る叩き売りを、何故に値を下げていくのかとの質問を受けます。それは、 彼らにはオークション(競り売り)がベースにある様で、この叩き売りの特色、伝統等を拙い 英語や中国語で説明すると、何とか納得してくれます。  更には、増上寺を観光してからの外国人も多く、雄大で荘厳な歴史ある仏閣、その境内に咲 き誇る桜爛漫、それに紅色の東京タワーを観て、古代、現代、自然が整然と混在している日本 国は真に素晴らしいと感嘆します。その上に”花見”という日本独特の風習、更に”バナナ叩 き売り”の実演を珍しいと驚き、感激して去っていきます。  それに、毎年見かける光景としては小学低学年を連れた親子です。ある年の事、小さな男の 子と若い母親の親子連れが実演を観てくれました。男の子は実演が終っても去ろうとせず、 我々が使用した携帯マイク、鐘、叩き尺等を興味深く、マイクを触ったり、鐘を振ってみたり、 叩き尺で叩いたりしてひたすら楽しそうに遊びます。その間、母親は近くでじっと男の子の仕草 を見、時にはその子と目を合わせたりと、まるで親鳥が雛鳥を羽で包む様な感じで見つめたりし ていました。やがてその子が遊びに飽いてきたと思われると、手を差し伸べて手を繋ぎ、その子 が手を振って別れ去っていく際、我々に向かって深々と頭を下げてくれた小綺麗な若い母親の姿 が、今でも脳裏を離れません。  この様に、この天下の東京タワーの袂では世界各地から、日本の各地から来た観光客やイベン ト関係者、出場者等いろんな人々との出会い、別れ、ドラマがあり、正に”一期一会”です。  毎年4月2日の夜、日本いや世界の街の何処かでブルーカラーのライトアップを見かけたら、 ”世界自閉症啓発デー”の日だと思って頂き、併せて我ら”ST保存会”が東京タワーの袂で、 声をからして”バナナ叩き売り”を実演しているなと、思いをはせて頂ければ、これまた結構! 上等!いやいや幸甚に存じます。   会 長 :伊藤 諭(千葉事業所― 千葉市)                  事務局長:大石武郎(千葉事業所―八千代市)
 

    


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