新型コロナウイルスの最新情報

 

各地で桜花が満開となっていますが、愛でる人は殆ど居らず、強い春風に散り始めたのを見ると、侘しさを感じる昨今ですが、皆様には、コロナに罹患せず元気にお過ごしでしょうか。

連日終日コロナのニュースでうんざりする毎日ですが、東京周辺では先週後半から感染者が増えており、急拡大を防止するために、さらなる行動抑制を訴えています。

残念ながら、人ごとのように振舞っている人も一部に居るようで、感染源の特定が出来ない例が増えています。

マスコミでヨーロッパやアメリカのコロナ事情を報道しており理解されていることと思いますが、コロネ(情報交換網)で現地の人から入手した直近の様子のレポートを入手しましたので、添付しました。現実がいかに厳しいか感じて頂ければと思い発信しました。

コロナは有効なワクチンか治療薬ができるまでは、悲惨な状態を回避するために、国の医療能力の範囲内に収まるよう行動を自制した生活をするしかありません。

高齢者は症状が悪化する例が多いと言われておりますので、先ずは罹患予防に配慮されると共に罹患しても負けない体力を付け、元気に過ごされるよう願っています。

020.03.30

小川拝

 

 

 

コロネ(情報交換網)による現地の情報

フランス在住邦人のレポートです。325 16:34

コロナが猛威を振るうヨーロッパから一生懸命、分かりやすくお伝えします。

状況はかなり深刻です。

日本でもロックダウン処置があり得るかもしれないとの発言を拝見しましたが、驚くのはそれに対する批判の声の多さ。

桜はそんなに大事ですか?卒業式はそんなに大事ですか?

経済破綻の方がよっぽど危険だという声(トランプ大統領も一生懸命声高く繰り返し主張してますね)ももちろん理解しています。

どれだけの人が失業するか、営業できなくなるか、想像し始めたら眠れなくなります。

インフルエンザみたいなもの、とか、かかっても死なないから大丈夫、とかも理解できます。実際のところ、そうです。多くが回復します。

しかしながら、ロックダウンの真意は、私みたいなものがコロナにかかからないため、ではなくて、「医療パンクを避けるため」です。

イタリアではしばらく前からすでにこのパンクの状態になっています。

パンクの状態、とは、誰を助け、誰を見捨てるかを選ばなければいけない状態、です。イタリアでは高齢者を見送り、若い人を助ける措置を続けています。

老人ホームなどでの感染が疑われても、病院に運び込むことすらしないのだと知りました。

運び込む病院がない。運んでも助ける医療設備がすでにない。

だから他の住民を感染させてしまうのがわかっていても、そのまま老人ホームに残すしかないという状況なのです。

そして誰しもが予想できた結果なのに、そのまま救命措置なしに、集団で亡くなっていく状況なのです。

患者の目を見ることができない、目を伏して、ただただすべきことを実行している毎日だとイタリア医療関係者が労働状況を訴えています。

フランスもそのイタリアの惨状レベルに、一歩足を入れた状態になっています。

アルザス地方では軍の簡易医療テントを設置し、昨日から治療が開始されました。

まだ余裕のある他の地方へ電車や船での患者移動もしています。一人でも多くの人に治療のチャンスを与えるために。

Reanimationと呼ばれる重態の段階になると、呼吸アシスト設備、心拍数の管理等、高価な医療設備が必要になります。

そしてその状態になると、向こう3週間はそのベッドは空かない、ということです。

死去の場合のみ、三週間以内にベッドが空くということです。

現在526というアルザス地方の重篤患者数は、来週も再来週も500前後だ、ということです。アルザスの重篤患者受け入れキャパシティは450と言われていました。

すでにオーバーしているのです。

軍の簡易テントのおかげとその他プライベートクリニックなどの協力でそれが900になった、とおうのが昨日のニュースです。

ロックダウン処置をする理由は、これをなんとしてでも避けないといけないからです。

なんとしてでもその波が来るのを遅くし、ベッド数を増やす処理をすること(:軍の簡易施設)、波を小さくするためにとにかく感染者を減らすこと。

私やあなたが感染するのを防ぐのではなくて、私やあなたみたいな、かかってもおそらく死なないだろうが、そこらじゅうにウイルスを撒いてしまう人を減らすことなのです。

戦争なのです。

ついこの前までカーニバルで盛り上がっていたイタリアは、今や誰を見捨てるか誰を助けるかの瞬間を生きています。

イタリアは、色々非難されていますが、2月の時点で、入国者全員の熱を測っていました。カスタムには長蛇の列ができていましたが、一人一人全員の熱を測りました。

日本もフランスも、その処置はしていなかったと記憶しています。

フランスはまだピークに達していません。まだまだフランス人もまさかイタリアみたいにはならない、ウチは大丈夫と思っています。

日本の皆さん、本当にお気をつけて。深刻さが伝わると幸いです。

死者の数の裏に、家族が、妻が、夫が、子供が、孫がいるのです。

 

 

ニューヨークの状況です。8時間前NYの集中治療医の投稿です。

中国やイタリアの病院からのリポートや映像を見るたびに、近い将来私が集中治療医として勤務するこの病院も悲惨な状況になるのではないかと頭の片隅では予測していた。そうならないでほしいと願ってはいたけどいつかはここにも来ることはわかっていた。心の準備はしていたつもりだけど、甘かった。

 

ニューヨークの医療現場は崩壊寸前の状態にある。うちの病院でもここ2週間でコロナの患者数があれよあれよと言う間に1人だったのから50人、200人、500人と増え、病棟のベッドもICUのベッドも全然足りなくなった。病院のいたるところにベッドを増やしても増やしてもコロナの患者数は増え続ける一方で追いつかない。うちの病院にはもともとICU4つあるがどれもコロナの患者で一杯だ。新しいICU3つ作られた。それでも足りない。ERは酸素を必要とする人や人工呼吸器を必要とする人でごった返しているが、人工呼吸器が底をつくのももう時間の問題になってきた。実際に知り合いの働くブロンクスのある病院は数日前に人工呼吸器がすでに底をついた。腎臓不全になる患者も多く、透析装置も足りなくなってきたので腹膜透析に切り替えをはじめた。病院で人工呼吸器や透析装置が底をつくというのは普段ではあり得ない状況である。

 

今自分の目の前に2人今すぐ人工呼吸器を必要としている患者がいるとする。でも病院にもう一つだけしか人工呼吸器が残っていなかったら?集中治療医としてその決断を迫られた時どうやってその最後の一人を選べというのか。

ERや病棟で10人も20人もの患者がICUのベッドが空くのを待っている状態において一つだけICUのベッドが空いた時どうやってその1人の患者を選べばいいのか。

 

大袈裟な話でもなんでもなく数日後には直面するであろうシナリオだ。実際に昨日ミーティングが開かれてこの問題を同僚と話し合った。自分達の経験や患者の状態を元に、また海外からのリポートを元に一番生き残る可能性が高い人を選ぶことになるのだが、年齢と基礎疾患だけで片付けられる簡単な決断ではない。

コロナ、コロナでないに関係なく集中治療医として死を目の当たりにすることは日常茶飯事である。 ICUに入っても当然助かる患者ばかりではないので、患者さんの家族と患者さんの意思を尊重した終末期ケアや緩和ケアの話をすることも慣れている。でも普段なら人工呼吸器さえあれば助けられるであろう患者を助けられないこの状況において医師として家族になんて言葉をかければいいのか。

もう今となっては街中の誰が感染していてもおかしくない状態なのでこの近辺ではどこの病院も家族との面会も見舞客も許可していない。唯一1人との面会が許されるのは患者が”actively dying”の時のみ。患者が数時間で確実に亡くなるであろうと医師が判断した時のみ家族1人との面会が許可される。それも5分のみ。病院で患者は孤独にこのウイルスとたたかっている。

 

私の同僚や看護師も何人もコロナにかかった。私の担当するICUにもうちの病院の医師と看護師が人工呼吸器を装着されて生き延びようとたたかっている。ニュースではお年寄りや基礎疾患のある人のリスクが報道されているが、若くして基礎疾患がなくて亡くなる人をここ2週間で何人もみた。病棟に入院して突然死する患者もいる。中国やイタリアの医師とカンファレンスコールをして意見交換したりしているが、まだこのウイルスについてわかってないことも山ほどあるのが現状だ。

毎日休み返上で働いてもコロナの患者は増える一方でもう終わりなき戦いに思えきて白旗をあげたくなる。まだニューヨークでピークに達するまで2-3週間かかるといわれているが、その頃にはこの病院がどうなっているか想像するだけで恐ろしい。自分がかからない保証などどこにもなく自分がウイルスを病院から家に持ち込んで家族にうつしてしまうことが正直一番怖い。

 

ニューヨークで今月の頭にはほんの数人だった感染者数がいまでは52000人以上になった。

ニューヨークの今後も心配だが日本の様子をニュースで見るたびに日本のことも心配になる。ニューヨーカーの多くもここまでひどくなることを予測してなかったと思う。コロナにかかって亡くなった人の中で”自分は大丈夫だろう”と思っていた人も多いと思う。中国やイタリアの様子をテレビで見ても遠く離れた場所のことに感じていたいた人もいると思う。自分または自分の家族や友達が重症化してから、今更人混みにでたことを、自分の行動を変えなかったことを後悔してももう手遅れだ。自分は無症状かもしれない。でも自分の知らないうちに、自分よりハイリスクの大勢の人にうつしている可能性は十分ある。日本には先月、今月で海外から帰ってきた人も大勢いる。日本にすごい2回目の波がきても、全然不思議じゃないしむしろ来ない方が不思議だ。ニューヨークもつい2週間前まではみんなリラックスモードだった。1週間前に外出禁止令がでてもまだ沢山の人が外出していた。今となってはさすがにみんな家にこもっているが、手のつけなれない状況になってしまってからそうしてももう遅い。

 

病院は地獄絵のようで、他の街がこんな悲惨な経験をしなくていいように心から願うが、気を抜いたら東京もこうなりかねない。外出自粛で家にばかりいて暇なことも、特に子供達にストレスがたまることもよくわかる。でももうしばらく辛抱してほしい。

今この状況になったからこそ気づかされることが沢山ある。家族や友達と会ってお喋りしたりハグしたり街に買い物に行ったり公園に行ったり、気軽にそうできることって幸せなこと。生きているってそれだけで本当に幸せなこと。

早く子供達にいつもみたいにハグやキスできる日が来ることを祈って..

 

 

**************目次に戻る**************ホームページへ**************