「熱中症アラートについて(暑さと共生)」

 

 


関東地方は8月初旬に梅雨が明け、関東南東が低圧部で気温が低かったため、
瞬く東寄りの風が入り朝夕は割合過ごしやすかったのですが、数日前から
低圧部が消失し完全に夏型となり、日中の気温が35以上、夜間も25度以上
と高齢者と言われる我々に極めて過ごし難い日が続いておりますが、
各位は如何お過ごしでしょうか。

マスコミ報道で高温注意報情報(この気象情報は主に農業への影響を注意
喚起するもの)や気温別の名称(夏日、真夏日、猛暑日、熱帯夜)で高温
や、熱中症の注意喚起をしていましたが、最近環境省から「熱中症警戒
アラート」なる警戒情報が流れるようになりました。今後しばらく暑さが
続きそうなので、関連事項をまとめてみましたのでご参考に。

アラートの発表の元になっているデータ等は「暑さ指数(WBGT)」です。
1992年の南混団勤務時に恩納基地を視察した際、基地内に黒球が付い
た柱が有るのに気付き、確認したところ「輻射熱を受けた温度」を観測
するもので、米軍は高温下訓練の是非の基準にしているので、当基地でも
取り入れているとのことで感心しました。
米軍は熱帯から寒帯、ジャングルから砂漠等世界中で行動しているため、
暑さと行動負荷について定量的な基準としたのがWBGTです。以降この指数
が世界各地で取り入れられました
1954年 海兵隊訓練所で提案され,米軍に取り入れられた
1982年 WBGTがISOの国際基準となる
1994年 日本体育協会で「熱中症予防の原則ガイドライン」とされる
2006年 環境省が「熱中症予防情報」としてHPでWBGTを発表
2011年 環境省が熱中症予測(本日、明日、明後日)150か所で発表
2013年 同上850か所で発表
環境省が発表している「熱中症警戒アラート」の詳細です。

(参考)WBGTの算出式(Tw:湿球温度、Tbg:黒球温度、T:乾球温度)
屋外時 WBGT(°C)=0.7×Tw+0.2×Tbg+0.1×T
屋内時 WBGT(°C)=0.7×Tw+0.3×Tbg
(算出式からの私見:人間の体は汗が出るので湿球温度計に似ている)

私が入会しているテニスクラブ(トップ4名は85歳超。平均年齢78歳)
では高齢者が多いため、5年前に自費で携帯熱中症計を購入しクラブ員
に注意喚起しています。
WBGTは日射、地面の状態、風等により地点毎に異なりますので、
スポーツ等を指導している人や炎天下で作業や運動をする人は、
熱中症計の携帯をお勧めします。

子供の質問にその道の専門家が回答するNHKのラジオ放送で、数日前に
「体温より低い気温なのに何故暑いと感じるのですか?」の質問が有り
ました。
人間(生物)は体内で熱を発生しているので体表から放熱しないと体温
を維持できないのが回答です。気温が25度Cくらいで安静時のバランスが
取れます。体表からの放熱だけではバランスが取れない場合は、発汗し
その気化熱を利用して放熱します。また、体表表面の空気が移動すること
により気温や湿度が変化するため、放熱に風が大きく影響します。
(体感温度は1m/sで1℃下がるとされます)

通常25度Cを超える(夏日)と暑く感じるようになりますが、体がこの
ままでは体温を維持できないという「オーバーヒート」の警告信号として
「暑い」と感じさせ発汗等が始まります。従って、暑いと感じる数値は
環境(気温・風・日射)や運動等(発熱状態)により異なり単に気温が
高いから暑いと感じるのではないのです。
暑いと感じた時は放熱等のため「風に当たる」「室温を下げる」「発汗
するよう水分を補給する」「部屋の湿度を下げる」「輻射熱を防ぐ
(日傘)」等で対応します。
高齢化すると、感度が鈍くなるので「我慢しない」「口が乾く前に補水
する」等と報道されていますが、自分の体調の具合から変化や警告を
見逃さないようにし、熱中症に対応しましょう。
真夏の暑さも楽しみながら元気にお過ごしください。
                  8.12 5班庶務  小川拝

(蛇足)
近年地球温暖化の影響で、海水面温度以前と比べると2〜3度上昇して
おります。
(気象庁HP――各種データー資料――海洋データー(日本近海の水温)
前日の水温)で確認されると判るように、27度Cのラインが房総半島の
先端部まで来ております。以前は奄美大島付近(現在は30度C)でした。
太平洋岸のの地方は日中は海陸風の影響で南から移流する空気が地面で
温められ上昇しますので、以前より2〜3度高くなり35度以上の酷暑に
なるのは必然です。
夜間になり陸風になっても暑い空気が陸上部に滞留するため気温が低下
せず熱帯夜となってしまいます。今後もこれが常態となるでしょうね。
沖縄では周辺が海のため、真夏の最高気温は33度くらいで、本土のよう
に35〜40度になることはなく、日中は海岸の厚い屋根の東屋の下で海風
に吹かれていると快適です。
夜間は海水温が高くに気温が下がらず28〜29度で寝苦しい熱帯夜が
続きますが、私の経験では、近年は沖縄の夏の方が、日射は強いが過ご
しやすいように思えます。

今年は太平洋高気圧の西への張り出しや北上が弱かったため梅雨前線が
北上ができず関東地方では梅雨明けが遅れました。まだ北海道近くに
前線が有ります。
(高層天気図500hpで夏の高気圧の範囲は5880m等高度線。
梅雨前線は5820m等高度線付近で渦度図で斜線域(+:左渦域)の南縁
付近とされますので、気象庁HPからアクセスして一度見て下さい。
数値予報では12日先まで示されています)

一昨日ラニーニャ現象の兆候が発生しているとの報道が有りました。
(この現象は東太平洋の赤道付近の海面温度の5か月移動平均値が
30年間の平均値より0.5度以上の降下(上昇)が6か月以上続いた時に
発表されます。HPで毎月の状態を発表されています。エルニーニョの逆)
ラニーニャ現象では西太平洋(ニューギニア〜インドネシア)の海水温が
高くなるため、この海域の対流現象が例年より活発になり、上昇した空気
が北緯30〜40度付近(日本付近)に降下してくるため、高気圧域となり
かつ断熱圧縮による昇温により、気温が高くなります。
このため、9月にかけ「残暑が続く」と予想されていますので、今後も
コロナと共に熱中症にも注意する必要があります。



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