トランプ流対露宥和を警戒!!! 

 

遠望子(大串 康夫)       

コラム「羅針盤」掲載    

 

  ロシアのウクライナへの軍事侵攻が4年目に突入した。米ロ急接近のウクライナ停戦 協議を巡り国際社会の懸念が高まっている。 トランプ米大統領はウクライナの頭越しにロシアとの停戦交渉を推進し、米ロによる 戦争終結の道筋を受け入れるよう圧力を強めている。 「戦争を始めたのはウクライナだ」とか「ゼレンスキー大統領は選挙を実施しない 支持率4%の独裁者」とか「プーチン大統領が望めばウクライナ全土を占領できる」 と連発。突然な「ウクライナ・バッシング」はトランプによるゼレンスキーに対する 「パワハラ(いじめ)」に見える。 米国の後ろ盾を失いたくないゼレンスキーは、低姿勢にて「正しい判断と支援継続」 を要望し、じっと我慢して耐え忍んでいたが、首脳会談では遂に口論となった。 トランプがとにかく停戦和平を実現して自身の成果にしたいのに対し、ゼレンスキー はウクライナの安全保証が優先だと譲らなかった。 決裂後米国はウクライナ支援中断をほのめかし、ゼレンスキーは謝罪を固辞する極め て稚拙な喧嘩別れとなった。 英仏主体の欧州は変わらぬウクライナ支援を表明しているが欧米ウクライナ3者間の 亀裂は深刻である。 事の重大性に鑑み、速やかな関係修復を望みたい。 笑いが止まらないプーチンは一方で、前言を翻し上塗りも躊躇しないトランプの油断 させる演出かもと疑っていよう。 ディール(取引)メーカーを自認するトランプは、どんな深謀遠慮策を用意している のだろうか?硬軟両様の交渉シナリオは未だ見えないが、プーチンが臍を噛むどん でん返しを期待したいものである。 米ロ和平案は、先ず「戦闘停止」、次に「ウクライナ大統領選の実施」、そして 「最終合意の調印」の3段階と言われるが、「大統領選」とはゼレンスキーを引き摺り 降ろし親ロ派政権に変えてロシア有利の合意調印を狙うのであろう。 これは露骨な内政干渉ではないか。 全土が戦災で荒廃し国民が国内外に避難している戦時下での大統領選は困難極まるが、 実施されれば巧妙なロシアの選挙干渉がなされよう。  停戦を急ぐあまりの対ロ宥和姿勢は将来に禍根を残す。停戦和平案はウクライナの 降伏であってはならないし、ロシアの勝利であってはならない。 人道無視の無差別攻撃による都市破壊、市民虐殺は重大な戦争犯罪である。 法の支配を基調とし、力による現状変更を禁じる国際社会は、たとえ停戦協議が 纏まったとしても国際秩序を無視したロシアの戦争犯罪を糾弾し続け制裁を緩めては ならない。ウクライナ支援を揺ぎ無く継続し、ロシアのG8復帰を許してはならない。 停戦協議の帰趨は、台湾有事、朝鮮半島問題を抱える東アジアに直接波及し正面に 位置するわが国の重大関心事である。 日本はロシアの軍事侵攻に対しG7の一員として欧州と足並み揃えて非難しているが、 北方領土をロシアに不法占領され旧島民全員が強制退去させられている日本こそ旗幟 鮮明にして、ロシアの戦争犯罪糾弾の先鋒に立つべきではなかろうか。 いい加減で「政治と金」問題から離れて「ロシア糾弾」の国会決議などを議論して 欲しい。      

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